年の瀬にあたり ―「起」に寄せて―

年の瀬にあたり ―「起」に寄せて―

令和七年は、皆さまにとってどのような一年だったでしょうか。

一年の締めくくりの言葉を考えながら、ふと年明け間もない頃の法話を思い出しました。 その中でお話ししたのが、「起(おきる・おこす)」という漢字の成り立ちについてでした。

「起」という字は、「己(おのれ)」に「走(はしる)」と書きますが、旧字では「己」は「巳」と表され、 これは、ヘビが頭をもたげ、前へ進もうとする姿を表しているそうです。

「起」を用いた言葉に「一念発起」という四字熟語があります。 「物事を成し遂げようと決意する」という意味で使われますが、もともとは仏教の言葉で、 「悟りへ向かう心を起こすこと」を指しています。

脱皮を象徴する巳年にあたる今年は、個人にとっても、また社会全体にとっても、一念発起して、 思い切って一歩を踏み出す力が試される場面が多かったように感じます。

ただ、人生は「七転び八起き」。

思うようにいかないことがあっても、その中で多くのご縁や気づきをいただき、 こうして一年を無事に終えられることを、ありがたく感じています。

お盆の時期のことですが、当山で、窓ガラスが割られ、本堂に侵入される窃盗未遂事件がありました。 振り返れば、今年は心を痛めるニュースも少なくありませんでした。 それでも、記録的な暑さとなった夏を越え、寒さ厳しい冬を迎え、また年の瀬を迎えています。

いろいろなことがある世の中ではありますが、皆さまがおだやかな気持ちで新しい年を迎えられますように。
来る年が、健やかで幸多き一年となりますことを、心よりお祈り申し上げます。

令和七年 師走
岩井山 龍光院・蓬莱山 弘誓院 山主

ホーム » 年の瀬にあたり ―「起」に寄せて―